* category: DAC
バスパワーPCM2704 トランス式IV変換
2017.04.23
Sun.
21:44

4~5年前に作ったバスパワーDACを引っ張り出して聴いている.DACはテキサス・インスツルメンツ PCM2704.44.1/48KHz,16bitとハイレゾ時代のいまとなってはプアーなスペック.だが,DACのIV変換がライントランス式であることが特徴だ.

実装されているライントランスは二個 約千円で買えるサンスイのST-75.昭和からの超ロングセラー製品でパーマロイ鉄心, ポリウレタン電線等といった拘りが消費者に支持されている背景にあるのだろう.
ST-75は一次インピーダンス:10kΩ,二次インピーダンス:600Ω.一次と二次を逆接続することで I(電流)をV(電圧)に変換するとともに利得を稼ぐ.
ところで,なぜトランス式IV変換なのかの話題に少しふれておこう.
一般的なDACはオペアンプを使いIV変換と電圧増幅回路を構成する.これに対し,トランス式は電源供給が不要のため回路が非常にシンプルに構成できること.DAC出力信号に含まれる高周波ノイズをカットするローパスフィルターも構成できる一石ニ鳥さがセールスポイントとなる.更に,トランス独特の音質が加わる.ちなみに 回路上で音質と周波数特性を決めるのはトランス個体と二次側の負荷抵抗になる.ちなみにこのDACは10kΩの設定だった.
もっと,広く情報を取得したいのであれば,USBオーディオ基板の購入先であるこのWebサイトを覗いてみてはいかがだろうか.

@500円のトランスともなれば,電気的特性が気になるところ.参考程度になるが簡易な方法でf特を測ってみた.DAC入力の信号源はフリーソフトWaveGene.DAC出力電圧の実行値をデシベル換算しグラフにプロット.
ST-75を使ったIV変換の事例でよく見かけるとおり電気特性は素直なものだ.廉価版ライントランス,サンスイST-XXシリーズは100Hzあたりからだら下がりになる傾向にある (*オーディオ用の高価なトランスは超低域までフラットな特性).
ただし,カタログスペック上でいうと,周波数特性の低域側は20Hz, 広域側は20KHzまでカバーしていることになる.周波数特性の定義は信号の通過利得が通過域から3dB下がった点だから.
廉価なトランス式IV変換.聴感上はオーディオ用ライントランスの一個10,000円のものと比べ明らかに劣るものではない.500円トランスながら,侮れない立派な音質でハイ・コストパフォーマンスなDACに仕上がっていると思う.
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この記事に対するコメント
お久しぶりです。
STトランスの音はいいですね。 PCM2704との組み合わせで、ダイレクトにヘッドホンを駆動する実験を以前、やったことがありました。
そのときは、ST-48がいい音(味?)をだしていました。
http://nw-electric.way-nifty.com/blog/2013/08/usb-dac-83be.html
その後、TAMURAトランスも使ったのですか価格が10倍ほどして、わずかにSTトランスよりも良い。 という結果でした。
Re:お久しぶりです。
たかじんさん、
ホントお久しぶりです!ブログも精力的に更新されお元気そうですね。
ところで、、、、トランスの音はオペアンプのIV変換と比べ躍動感があっていいですね。とりわけSTトランスはリーズナブルでこの手を音質を確認したい方にはお勧めしたいです。
なお,最近,電子工作をチョボチョボやりはじめました。これまで同様,引き続き宜しくお願いします!
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