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* category: ヘッドホンアンプ

0dB HyCAA その3 




P1020572.jpg

たかじんさんが頒布中のヘッドホンアンプ基板のまとめになる.

真空管というとラジオっぽい音質や古臭いイメージを抱かれているのであれば,それは大いなる誤解.真空管には負帰還で厚化粧した音質の半導体アンプとは一線を画す音色がある.この音色を敷居が低い電子工作で手軽に楽しめて,しかも頒布価格は良心的!
ヘッドホンで音楽を聴く機会が多い方には,ぜひお勧めしたい一枚だ.

■こんな感じに仕上がった

Picasa_P1020595.jpg

シンプル!ボリューム等の入出力を基板外に引き出した,”HyCAA カスタムバージョン”.


以下,備忘録的な記録.これから頒布基板を入手して製作する方は参考にどうぞ!

■Tips1.ケースはどうする?

選択肢は3つある.星は独断による工作難易度.

1、★☆☆☆☆「シンプルに丸裸」.基板は入力・出力コネクタ,電源ソケット,ボリュームをぜんぶ載せれる設計なので,四隅にある丸穴に足代わりのスペーサーを取り付けて,おしまいにするパターン.

hycaa_pcb01_2.jpg
http://nw-electric.way-nifty.com/.shared/image.html?/photos/uncategorized/2013/09/05/hycaa_pcb01_2.jpg

2、★★☆☆☆「ちょっとCool」.東急ハンズなどでアクリル板を加工してもらって,下の画像にあるようなオブジェ的なアンプに仕上げるパターン.

Bravo.jpg

3、★★★☆☆~★★★★☆「ちゃんとアンプ風」.基板が丁度納まるサイズのケースを探して,加工する.出来の良いケースに入れると下の画像のようなメーカー製のアンプのように一気に様変わりできる.

Carot.jpg

デザイン的にもメーカー品に引けをとらないケースとして候補にあがったのが,タカチのAWA8-4-8-SS
最後まで迷いに迷ったが,ケースが上下に分割できないので加工性の点でボツ.

次にあがったのが同じくタカチのMX4-10-8BB. 商品名はMX型丸型モバイルケース.サイズはH40mm W95mm D80mmのため,オリジナルで仕上げた場合は,無加工でぴったり納まると見込んだ.
このケースの特徴はシャーシが上下分割できるので,真空管の丸穴加工もラク.また,パネルが樹脂なので作業性も良いのが魅力だ.デザイン的に拘るのであれば,パネルだけアルミ製に交換すればよい.

MX型モバイルケースに決め,アキバに向かったが,土壇場で隣に陳列されていた奥行きが120mmのMX4-10-12BBを購入してしまった、、、、.

MX4-10-12BB.jpg

その理由は,

・ヘッドホンはオーバーイヤータイプを常用しているため,アンプ側のフォーンジャックは標準タイプの方がベター.また,入力端子も繋げる機器はDACなので,ジャックではなくRCA端子にしたい.
・音の入り口であるボリュームは,できればミニタイプは使いたくない.
・ついでに電源スイッチがあれば便利.

ということで,配線の引き出しなど少しばかり手間がかかったが,以下の画像のように出来上がったのだ.

Picasa_P1020591.jpg


■Tips2.部品はどうする?

初めての方は,このマニュアルどおりにパーツを購入し実装することお勧めする.
例えば電解コンデンサを一つとっても太さが様々あるし,ネットの評判だけを頼りに選ぶのは動かないアンプになるリスクを背負うことになりかねない.

さて,以下に私の場合の作例を簡単に解説することにする.部品はケースと抵抗数本を新たに調達した程度で,基本,自宅の在庫パーツでまかなったので,マニュアルの部品表とは異なる点がある.
また,作例はひとつの参考に過ぎず,こちらの方が音質が良いと推奨するものではない.

Picasa_P1020578_2.jpg

①電源端子:DCジャックならびに電源スイッチをケースにつけたことに伴い,メンテしやすいように基板上のDCジャック装着箇所にターミナル端子をつけた.ただし,端子と抵抗は少し干渉するのでカッター等で削ってあげるとよい.

②電源平滑キャパシタ:ケミコンは,表面実装用を裏技的に使用.パナソニック製1500uF/16V.低インピーダンスタイプで背が低い割りに容量が大きいのでポータブル・アンプには良く使う.

③機器内部配線材:入力端子~ボリューム~基板入力の機器内部配線材はカナレ(L-2B2AT)を使っている.以前はベルデンを使っていたが固くて取り回しが難しい.カナレのこのケーブルはシールドがしっかりしており,かつ取り回しがしやすい.
アンプ基板のボリューム装着位置にはピンヘッダを立て,ケーブルをコネクタ接続とした.

④入力DCカットのキャパシタ:パナのECQV2.2uFメタライズフィルムコンデンサーをチョイス.オーディオ用として店によっては@300円以上するものが秋月電子で激安で入手したもの.音が痩せることなく変なクセもなくポータブル・アンプの工作では定番品.

⑤MT9Pinソケット・基板用:基板用はいくつかの種類を自宅在庫しているが,使ったのは単純な筒型.購入先は失念.このソケットは形状によっては,オペアンプ・ソケットとの干渉がとりざたされているので注意が必要.

⑥オペアンプ:電圧増幅用のVアンプ用には推奨のOPA2604を使用.
電流増幅用のCアンプはアナデバの高出力電流でヘッドホンドライバー向きとされるAD8397を選んだ.

【AD8397 FEATURES】
・Wide supply range from 3 V to 24 V
・High linear output current 310 mA peak into 32 Ω on ±12 V supplies while maintaining


負荷ドライバー能力はなんと25Ω,電源電圧±12Vまたは24VでピークAC出力310mAとは凄い!
ただし,使いこなしには少々工夫が伴う.データシートを読まない方にはお勧めしない.

⑦出力DCカット・キャパシタ:少し大きめのケースにしたことで,音が好みのニチコンKZ1000uF/25Vをトライしてみたが,流石にこの大きさはダメだった.容量は1000uFは譲れなかったので,次点TOSHINのUTSJ 1000uF/16Vにした.

⑧出力配線材:基板アンプ出力~ヘッドホンジャック間の配線材はテフロン銀メッキ.僅か数センチの配線材が音の良し悪しに影響を与えるとは考えにくいが,細かい所にも手を抜かない.

■Tips3.スイッチング電源ノイズ取り

アンプ電源の12Vは,秋月電子で買ったスイッチング電源方式のアダプタ(3.8A).
このようなACアダプターは,電源にノイズが載ってしまうので、トランス電源に比べ音質は落ちると思う.
そこで,コモンチョークコイルを使ったノイズフィルターを小さなケースに入れて,アンプ直前に挿入してみた.
明らかに音が落ちついた.トランス電源に及ばないものの,素のACアダプターより断然よい.お試しあれ!

■Tips4.音を極めるならトランス電源

Picasa_P1020614.jpg

トランス式電源で音質はどうなるかも実験してみた.
電源は以前デジタルアンプ用に自作したもの.丁度12Vと定格は同じ.想定はしていたものの,その変貌ぶりに驚き
質感はシルクのように滑らかになり,重心がぐっと下がった腰が据わった音質.本格的に音質向上を狙うのあれば,真空管やオペアンプの交換に嵌る前にトランスベースの電源をお勧めしたい.
注意点として,市販のトランス式12V-ACアダプターを単につなげてはダメ.これには定電圧回路が入っていないので,最悪アンプが壊れてしまう.この場合,秋月電子などで入手できる定電圧キットを組合したらいかがだろう.

参考:勢いあまって専用電源を試作してみた → 記事 

■Tips5.オペアンプの交換で音はかわるか?

Picasa_P1020637.jpg

オペアンプ2個で構成されるヘッドホン駆動回路の初段オペアンプを交換して音の変化を確かめてみた


■最後に.ヘッドホンアンプの変遷

Picasa_P1020600.jpg
最後にポータブルHPAの変遷でも.
手前左はゲルマニウムTr+出力トランスを使った変わり種,そして二段重ねの下段はClassAA,上段が今回のアンプ『0dB HyCAA』.


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この記事に対するコメント

トランス式、やっぱり違いますか。 ちょうど良いトランスを持っていないので
すぐには試せないですが、そのうち挑戦してみようと思います。

私の方は、実験では秋月も使いますが、常用は、PC周辺機器用の
スイッチングアダプタです。 それでもノイズが少なく、0dB HyCAAはS/N比は
100dBを超える数値を叩き出します。  このアンプ、一体なんなのでしょう。

URL | たかじん #- 【2013/09/21 22:05】 *編集*

Re:HyCAAの電源

たかじんさん,
はい,トランス電源の効果は大きかったです.

それに触発され,ただいまコンパクトサイズのトランス電源の試作にはまっていました(笑).
このアンプはシンプルな回路だけあってパーツや周辺(例えば電源)が音に直結する感じがします.その分楽しめますね!

URL | analogdevice #- 【2013/09/22 09:07】 *編集*

初めまして

初めまして作る前に参考にさせていただきました、上下分離できないケースを利用しました、見事に真空管の穴は上下貫通です、このアンプは
部品点数が少ないのに、真空管利用とは思えないクオリティーでびっくりです、この前に作った純A級フルディスクリートは部品集めにやや時間が掛かった事を考えると素晴らしいの一言です、オリジナルも楽しまないうちに7AU7用に改造して楽しんでおります。

URL | 45gs #T4uSdafE 【2013/09/23 00:32】 *編集*

Re:初めまして

45gsさん
アルミケースの加工は大成功だったようですね!ケース加工の仕上がりは,たかじんのブログで拝見させていただきましたが,基板のコンパクトさを引き出しており見事です.私もYDAは作った口ですが(http://analogdevice.blog84.fc2.com/blog-entry-384.html),あのケースはいいと思います.目のつけどころが素晴らしい.それと楽しみを与えてくれたたかじんの基板頒布にはホント感謝です.

URL | analogdevice #- 【2013/09/23 10:54】 *編集*

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作例といいますか・・・

もはや、私の解説のページはいらないんじゃないかと思うほど。 こちらをご覧下さい。

new_western_elecのブログ【2013/09/17 12:55】

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