* category: ヘッドホンアンプ
フルディスクリートHPA(2)
2013.01.06
Sun.
13:02

年末年始休暇のテーマであったフルディスクリートHPA,とりあえず音が聴ける状況まで漕ぎ付けた.
差動増幅回路の仕様はFETバージョンにした.
一瞬,ドライブ感があるバイポーラ仕様にも傾きかけたが,現用機であるHPA(初段FET差動)と比較してみたかったこと,また,スケール感とボーカルの妖艶さがバイポーラより分がある音の傾向が好きだから.まぁ,いい音は結局のところ個人の嗜好だからね.
さて,実装作業はたかじんさんの丁寧な解説もありトントン拍子で進めることができた.オリジナルと異なるところは,ケミコン容量をアップしたこと,電源部ならびに初段定電流部のケミコンには0.1uFのフィルムCを裏打ちで抱かせたことくらい.
また,トランジスタはC1815・A1015の選別バージョンである”L(ローノイズ)”を使った.
さすがに選別品だけあってHfeが驚くほど揃っている.これからパーツ選びに入る方にはお勧めしたい.
あと,実装のポイントとしては,リプルフィルターのR80・R81はケミコンとの干渉を避けるため裏面から取り付けた.同じく干渉しやすい保護回路のR87・R88はややズラし実装した方がいい.
いずれにしても,作業を終えてみてホント良く出来た基板だと思った.
なお,初段の負荷抵抗などは,ハンダ付けをせず,ピン端子とした.あとで音質微調整をする際,抵抗交換を容易にできる.好みの音になったら最後にハンダ付けすればよい.

※画像"定電流部C51"の実装位置は修正前で正しくはC52です
基板は画像のとおり未だケーシングしておらず,バラック状態だ.基板とトランスとかなり近接しているが,心配していた誘導ハムの影響は全くなかった.
ちなみに左に写っているHPAは音質チェックのために用意した現用機.初段は今回つくったものと同じ2SK30だ.
出来上がったHPAを聴いてみる.
エージングはこれからなので大きなハンディがあるものの,そのポテンシャルの高さを強烈にみせつられた.
ベールが一枚剥いだというか,とにかく試聴ソースがストレートにヘッドホンに飛び込んでくる.聴きなれた2SK30の音も粒立ちの良さ,透明感が増した感じ.カップリングCを通さないDCアンプの特徴がよくでている.加えてC1805・A1015のパラ化は正解で,非力さを全く感じない.
やはりオペアンプHPAとは格が違う”いいHPA”が率直な感想だ.
« Journey / Carol Welsman | フルディスクリートHPA(1) »
この記事に対するコメント
明けましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いいたします。
非常に丁寧な作り方をしていらしゃるのが、写真を見てわかります。 初段の熱結合も銅箔テープを使っていますし、リレーもオムロンの金クラッド。 抵抗やケミコンは、見たことの無い高級そうなもの・・・
A1015・C1815も(L)品と、かなりすごい構成ですね。
オペアンプとの差を出すための最終段3パラですが、想定していたよりもずっと良い音がして助けられた気分です。 必要以上に高ftではないため、ベース抵抗を入れなくても発振しないというのも良かったのかもしれません。
Re: タイトルなし
たかじんさん
早速のコメントありがとうございます!
丹青こめて設計した基板ゆえ,作る側も最大限の配慮をさせていただきました.
まさに”魂入れる!”ですかね(笑)
ケミコンはいつもは迷わずKZなんですが,サイズと容量からボツ、、、今回は設計にあわせてニチコンの音響用というのを取り寄せてみました.悪くはないみたいです.
冗談抜きで素晴らしいアンプですよ,ホントありがとうございます!
analogdeviceさんはじめまして、たかじんさんのblogから来ました。
スペース考慮の青いコンデンサが揃って美しい仕上がりですね。
私はHPA-12をミニパワーアンプで検討してますが、ディスクリート未経験なので初歩的なことなのかもしれませんが、質問させて下さい。
C51→C52(ですよね)は了解しました、C1/C51の入力カップリングコンデンサが実装されてないのは、入力側がDC出ない対策されてるので、電解による音の影響嫌って排除と言うことでしょうか?
私の場合は入力側が確証持てないからつけとくのが無難かな。
Re: 入力カップリングコンデンサ
CR-Xさん,はじめまして.
大容量かつ基板に実装できる大きさを調べ,探し当てたのが青いコンデンサ,ニチコンのオーディオ用「KTシリーズ」です(http://technobase.jp/eclib/OTHER/CATALOG/CAPA/kt.pdf).
作った頃は取扱店は少なかったのですが,いまでは共立エレショップでも売ってます.(http://eleshop.jp/shop/).
さて,コメントの入力カップリングを排除した理由ですね.仰るとおり入力カップリングCはアンプ音質全体への影響が比較的大きいので今回はパスしました.回路本来の音質を楽しみたかったことが最大の理由です(一般的に輪郭が明瞭な音を楽しめます).DCアンプといえば金田式が有名ですのでお調べしてみたらいかがでしょうか.
ただし,安易にDC直結はお勧めしません.最悪大事なヘッドホンやスピーカーが壊れますので.
今回は初段差動回路素子をJFETにしたこと,もしDC漏れの機器が入力されても検出回路の動作が担保されている、、、が大前提になります.ディスクリートにはオペアンプでは表現できない再生能力があります.この素晴らしさを是非ご体験ください.
部品の紹介、丁寧な解説有難うございます。
ディスクリ事始ですので、まずは安全側で行って見ます。
ちなみに私もKZ派です。>でかくて苦労しますが。
トラックバック
トラックバックURL
→http://analogdevice.blog84.fc2.com/tb.php/367-9a14755f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| h o m e |